【Vol.106】最高のペアパートナーは“探す”ものではなく“育てる”もの(パフォーマンス編)
こんにちは、SHINJIです。
20年現場にいますと、サルサやバチャータでパフォーマンス活動をしている方から、以下のようなご相談も数多くいただく機会がありました。
「今のパートナーにモチベーションが無い(この人とは組みたくない)」
「今のパートナーではなく、あっちのペアの相手がいい」
「自分に合う最高のパートナーを探したい(探しているけど、中々見つからない)」
舞台に立つ以上、呼吸や価値観までぴたりと合う相手を探すのは自然なことです。ですが、その“理想”にはいくつかの“落とし穴”があります。
始めから「100%合う人」はほぼいない
人は誰しも、自分にとっての“最適なパートナー”を探そうとします。パフォーマンスのペア探しでも、「理想の相手と組みたい」と思うのは自然です。しかし、ここに冷静に見ておきたい現実があります。
① 理想の人ほど、自分にはそこまで興味がない(ことが多い)。
まず、不都合な真実ではありますが、 「理想の人ほど、自分にはそこまで興味がない可能性が高い」という残念なリアルがあります。“理想の相手”は、理想なだけに、何らかのスペック(外見・技術・人気など)を持ち、多くの人から求められています。長年現場経験を見てきた実感としても、こちらを理想を、相手も同じように思ってくれるとは限りません。(相手も興味を持ってくれていたら、”超ラッキー”です。)
② 仮に組めても、どこかでズレる。
もし理想通りのスペック同士で組めても、練習にかけられる時間・性格・言動・思いやりの違いが次のハードルです。
例えば一時的な視点では、外見的な魅力や表層的なダンススキルで惹かれて、”この人がいい”と感じたりすることは多いです。一方でペアパートナーの観点では、“中期的な相性”含めて、もっと複雑なバランスで決まります。
例えば、練習量・生活リズム・性格・美的感覚・ちょっとした言動や思いやりなど、色々な部分が、相性の物差しで入ってきます。その上で、とても多くのケースで、どこかがずれることが多く、しかも「真剣に関わるほど」そのズレは強く表面化しやすくなります。
時間軸で見れば、一時的に合うように見えても、数週間、数ヶ月の単位では、多くの場合一定量のズレが表出します。ペアによっては恋愛関係になり、ズレに対する包容力が増えるパターンもありますが、それでも年単位ではやはり齟齬が発生し、喧嘩後に離れる、ということも珍しくありません。
・結論:そもそも始めから“本質的に100%合う人”はほぼいない。
よって、一時的に「すべてが合う」ように見えても、時間が経てば基本的にズレが生まれることが自然です。結論として、「100%合う」関係は現実的にはほぼ存在せず、「隣の芝生は青く見える」状態で、理想と思われるパートナーを探し求める、、、という事態が発生します。
解決策:「探す」のではなく「歩み寄る」
だからこそ結論はシンプルです。
最高のパートナーは、“探すもの”ではなく“育てるもの”。
この手の質問を受けたときは、私はよく結婚を例に例えて回答することが多いので、こちらの記事でも同様の流れで記載します。
結婚において、多くのカップルは「この人しかいない」と思い合って結婚します。最初は恋愛感情や理想が重なり合い、まさに“100%の相手”に見える瞬間があります。ところが現実には、性格の不一致・生活リズム・金銭感覚の差などが表面化し、やがて摩擦が増えていきます。そして、実際に日本では、1/3の夫婦が離婚する現実があるわけです(ご興味ある方はネットで検索してみて下さいね)。例えば――
・家事や役割分担で言い合いが増える。
・片方は節約志向、片方は浪費家でストレスが蓄積。
・仕事/趣味にかける時間の配分が違い、距離感が崩れる。
愛し合って結婚した二人ですら、違いに直面する。「最初から完璧な相手」などいないということを、結婚はとても分かりやすく説明してくれています。結論として、理想の二人になるためには、違いをどう受け止め、歩み寄れるかが関係を左右します。
パフォーマンスのペアも考え方は同じです。少なくとも、最初から理想の人を探すよりも、日々の歩み寄りと積み重ねの中でこそ、“最高のパートナーシップ”は育ちます。
練習量の温度差、美的感覚の違い、衣装や見せ方へのこだわり、性格/コミュニケーションの壁、感情的、言い方がきつい、何も言ってくれない、生活リズムの違い、夜型/朝型のすれ違い 、疲れが積み重なり「もう無理」、言い出すときりがありませんが、大事なのは、違いが見えた“その瞬間”に、どう歩み寄るかです。
ペアダンスのパートナーシップに必要な視点
1. 技術より「感情の余白」
「正しさ」だけでは続きません。心理的安全性ではありませんが、ちょっとした言い方に気を遣う等、間違えても大丈夫という感情面の余白を、お互い提供することにより、二人の安心を作ります。
2. 寄り添いすぎない距離感
過度に依存し合うと、期待も大きくなるので、小さな違いが摩擦に変わります。適度な距離を保つことが、長期的な健全さの鍵です。たとえ恋愛関係にあるペアであっても、ダンスに関しては一歩引いた“別の視点”を持つ方が、冷静に課題を見つめ、深く掘り下げられることが多いです。
3. 相手を変えるより、自分がどう在るか
「もっとこうしてほしい」より先に、自分が変わる。その姿勢が関係を安定させます。
4. ちょっとした思いやり
お互い感情的になってしまった瞬間も、意図的に自分から話しかけたり、すぐに歩み寄る等、ちょっとした思いやりでパートナーシップは育まれます。
🔸育てるためにあった方が良い“最低限の共通基盤”
勿論、育てていく前提でも「誰でもOK」ではありません。歩み寄りが成立するために、最低限そろっていた方が良いスペック・条件はありますので、可能であれば、ざっくりで良いので事前に観察すると良いと思います。この“共通基盤”が揃っていれば、あとは歩み寄り×継続で関係を育てられます。
- ゴールの方向性・スコープの共有(大会入賞を狙うのか、出演を楽しむのか)
- 感情的になっても、コミュニケーションができる基本成熟度(会話が成立する)
- 清潔感・自己管理への意識(見られる所作としての基本)
- 練習量/時間リズムが大きく乖離していないこと
最後に、見落としがちな点として、“ペアは鏡”という側面があることです。相手に感じる不満や苛立ちは、自分の要因由来の課題を映していることも少なくありません。(例. 自分のリード&フォローが強すぎて、相手側が安定しないにも関わらず、相手の技量のせいにする等)
「私にも原因は無いか?」「私はどう受け止めているか?」も、原因自分論で観察する癖を身に着けると、歩み寄りが深まり、信頼の基盤が深まります。
🔸補足:相手が全く変わらない場合
その上で、自分がいくら変わっても相手が全く変わらず、わがままや不誠実さを押し通す相手であれば、結婚と同じくさっさと別れる決断をおすすめします。それは敗北ではなく、自分を大切にする健全な選択です。
まとめ:自分が変わりつつ、育てていく
最高のパートナーは、探せばどこかに“いる”特別な存在ではありません。互いに歩み寄る姿勢を持てる相手と、日々の積み重ねで育てていくものです。
そして一番のカギは、まず自分が変わること。人は鏡です。自分が合わせていけば、相手も自然に合ってきます。その往復が「共に成長する」循環となり、結果として長く続く唯一無二のパートナーシップになります。
深堀りされたい方は、別視点の以下記事もご参考ください。
【Vol.93】他人のソーシャルダンスを評価したくなったときの注意点と心構え──自己完結のすすめ
またフロアで。
SHINJI
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