【Vol.121/後編】複数のチームに参加するのは悪いこと?──人間関係&人生の視点から整理する

Bachata

【Vol.121/後編】複数のチームに参加するのは悪いこと?──人間関係&人生の視点から整理する

こんにちは、SHINJIです。前回(Vol.120/前編)では、複数団体・複数チーム参加を「学び」の観点から整理しました。今回は後編として、同じテーマを人間関係&人生の観点から、もう少し構造的に整理してみます。

結論:人間関係は「最大化」ではなく「最適化」

先に結論を置きます。
人間関係において複数のチームに所属する最大のメリットは、
「近いフェーズにいて、同じ価値観を共有できる仲間と出会えること」です。
それがうまく噛み合う場合、複数チーム所属は、ダンス人生においてとても大きなプラスになりやすいと感じています。

上記を前提にした上で、人間関係における今回のテーマにおけるキーメッセージは、この3つです。

① 人間関係には向き・不向き・相性がある
② 複数チーム所属含め、他人の人間関係”幸福モデル”を真似る必要はない
③ 人生論──自分に適した人間関係の”バランス”を知る

先に二つの”前提”を説明したあと、これらを順に深掘りしていきます。

前提①:人間関係は、ペアダンスにおける「幸福度」に強く影響する

まず最初の前提です。ペアダンスは、技術だけで完結するものではなく、必ず相手と踊る・人と関わる要素を含みます。そのため、人間関係は、ペアダンスを続けるうえでの満足度や幸福感に、大きく影響しやすい因子になると考えています。

私自身、数年前にMBAを取得する過程で、心理学やカウンセリング理論も学びましたが、一般的な幸福研究においても、幸福度に最も強く影響しやすい要素として、繰り返し挙げられているのが「人間関係」です。

そして、20年以上ペアダンスの現場を見てきた実感としても、「人間関係が気になる」という感覚自体は、決して特別なものではなく、この世界でごく自然な反応だということを、最初に共有しておきたいと思います。

前提②:人間関係”だけ”を目的にすると、中長期では続きにくい

一方で、ここも大事な前提です。ペアダンスの世界では、人間関係”だけ”を目的にしてしまうと、かえって苦しくなるケースもあります。

なぜなら、この世界は(良くも悪くも)「ダンスを通じて」友人・仲間・承認・居場所が生まれる構造だからです。特に、踊りへ時間を投下する”ダンスチーム”の活動では、この傾向がより分かりやすく現れます。

たとえば、自分に合う友達探しを主目的にしていたり、最初から彼氏・彼女作りを目的にダンスチームへ参加する人を見かけることもあります。そうした場合、表面的には短期的に人と繋がれることもあるかもしれません。

ただ、中長期で見ると、少なくとも「その場に居続ける」という意味では、続かないケースが多い、というのが経験上の実感です。時間が経つにつれて、踊りへの関心や投入量に差が出始め、

  • ダンスへの意識が合わなくなる
  • 話題についていけなくなる
  • 周囲との価値観のズレを強く感じるようになる

結果として、そのズレ自体が、人間関係を気まずく感じさせてしまうからです。

これは、個々のコミュニケーション能力の問題というより、「活動の本質」と「参加目的」がズレたときに起こりやすい、構造上の話だと捉えています。

だからこそ本稿では、「ダンスを学び、楽しむ」という前提がある中での、人間関係と人生の話として、あらためて整理していきます。

① 人間関係には「向き・不向き・相性」がある

ここから、今回のキーメッセージをもう一段深掘りしていきます。ペアダンスの場における人間関係の関わり方は、人によってかなり違いがあります。

そこで便宜上ですが、「心地よく感じやすい関わり方」という観点で、大きく3タイプに整理してみます。

※優劣ではなく、相性の違いとして捉えてください。

タイプA:不特定多数と関わるのが心地いいタイプ(場の熱量型)

  • 短期型 ─ 関係が浅くても自然に楽しめる
  • 一期一会の出会いそのものが好き
  • 人よりも「場の雰囲気・熱量」にワクワクする

このタイプは、オープンレッスン・大規模イベント・流動性の高いコミュニティと相性が良いことが多いです。
ポイントは、「一人一人と深く」というより、場全体の空気感の中で、人と関わること自体を楽しめる点にあります。

複数チーム所属の観点では、海外ワークショップの
「短期集中(3時間振付 → 発表1〜2回)」のような、一期一会型のチームを特に楽しめる人が多い傾向です。

タイプB:少数の人と深くつながる方が合うタイプ(共鳴型)

  • 短期より中長期の関係が向いている
  • 時間をかけて、少しずつ距離を縮める
  • 信頼・安心感・深さを含めて人間関係だと感じる

こちらは、不特定多数よりも、少人数制・固定メンバー・セミクローズドな場が合いやすいタイプです。
ポイントは、「安心して自分を出せるかどうか」です。

複数チーム所属の観点では、期間限定・目的限定で深く関わる取り入れ方が、本来は相性が良いグループです。

常時複数チームに所属する場合は、自分の中で深めるための時間や体力といった、追加リソースが必要になります。
それを自覚したうえで選べるなら可能ですが、負荷は大きくなりやすい点は要注意です。

タイプC:一匹狼タイプ(自分の世界型)

  • マイペース
  • 群れるのがやや苦手(人が嫌いなわけではない)
  • コミュニティに「常時所属」すること自体が負担になりやすい

このタイプは、個人練習・単発参加・必要な時だけ関わる距離感が本来合います。
一匹狼は孤独というより、「自分との対話を深める時間が必要なタイプ」とも言えます。

複数チーム所属の観点では、距離感が自分に合っているかどうかを、慎重に見極めて参加するのが大切な群です。

② 他人の「人間関係・幸福モデル」を真似る必要はない

ここで一つ、よく起きやすい論点に触れておきます。複数チーム所属視点における人間関係の話になると、こんな問いが出てきがちです。

  • 所属コミュニティが多いほど、人間関係は“豊か”なの?
  • あの人みたいに、たくさんの友達に囲まれていた方が幸せ?
  • SNSでいつも誰かと一緒にいる人の方が充実している?

これについての答えは、とてもシンプルで、「ケース・バイ・ケース」です。

本当にそのスタイルが合っていて幸せな人もいますし、
外からはそう見えても、実際は消耗しているケースもあります。

大切なのは、仮にそれが“リア充モデル”だったとしても、
それは「その人に合ったモデル」だという点です。
それが、私たち全員に当てはまるとは限りません。

たとえば、タイプB(共鳴型)の人が、十分な時間や余裕がないまま、
他人のモデルを真似て常時複数チームに所属すると、
ダンス自体は楽しいのに、人間関係で消耗する状態になりやすいです。

だからこそ、人間関係は「最大化」ではなく「最適化」が重要だと考えています。
そのための出発点が、「自分を知ること」です。

③ 人生論──自分に適した人間関係の「バランス」を知る

最後に、今回の話を人生論として整理します。

論点:ペアダンスで、人間関係を“満たしすぎよう”としていないか

ここは、20年以上現場を見てきて、かなり多いと感じるポイントなので、あえて論点として取り上げます。ペアダンスにおける人間関係のコツは、チーム活動も含めて言うと、ダンス以外の人間関係を持っていた方が、結果的にバランスが取りやすく、悩みにくいという経験則です。

人間関係の視点(知人・友人を増やすという意味)で、複数のダンスチームに所属したり、毎日のようにダンスの場へ足を運ぶなど、ダンスに時間を集中投下するのも、もちろん一つの選択肢です。ただし、人間関係そのものは、本来ペアダンス以外にも多く存在します。

  • 家族
  • 仕事(同僚・仲間)
  • ダンス以外の知人・友人
  • 他の趣味コミュニティ
  • ゆるいSNS上のつながり など

では、なぜペアダンスの人間関係は、ここまで魅力的に感じられるのかというと、それは、「求めようと思えば」、友人・仲間・パートナー・恋人・承認・居場所等、人間関係の欲求の多くを一気に満たせてしまう、距離の近い世界だからです。これは、

  • いわば“大人のサークル”的な空気感
  • 身体的接触があること
  • 異性との距離が自然と近くなること

といった、通常の生活では起きにくい条件が重なった、ペアダンス特有の構造でもあります。だからこそ、男女問わず、その瞬間の人間関係に過度に依存してしまい、結果として苦しくなる人も、何度も見てきました。たとえば、

・仲間が増え、「ここが自分の居場所だ」と感じ、毎日のように善意でイベントを手伝い続けた
・先生や知人に誘われ、時間やお金を無理をして複数のチームを掛け持ちした
・ペアダンスの相手との距離が急速に縮まり、恋人関係になり、結果として家庭が崩れてしまった

そして、その後に起きる以下のような出来事も、実は珍しくありません。

・コミュニティ内で摩擦が起き、辞めたあとに何も残らなかった
・お金や時間が続かずチームを離れた結果、その先生や仲間と自然に疎遠になった
・関係が冷え、最終的に破局し、一人になった

これらの出来事自体に、良い・悪いはありません。よくある話でもあります。ただ、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいのは、その瞬間、フラットな視点で「周りはちゃんと見えていたか」という点です。

ペアダンスの世界で得られる人間関係は、少し極端に言えば、「その瞬間・その世界を最優先し、のめり込みやすい構造」を持っています。身体的接触がある分、心が向くスピードも速い。それはペアダンスの大きな魅力であると同時に、リスクにもなり得ます。

大人なので、最終的には好きに人生を選べばいいと思っています。ただ、本来は、ダンスはダンスとして楽しみながら、自己犠牲を前提とした人間関係にならないためにも、ダンス以外のコミュニティも含めた「ポートフォリオ」で人間関係を整える。その方が、自分を冷静に保ちやすく、結果的に長期的には安定しやすい、というのが正直な所感です。

まとめ:Vol. 120 & Vol.121の整理

最後に、Vol.120では「学び」、Vol.121では人間関係と人生の視点から、
複数団体・複数チーム参加というテーマを整理してきました。

学び編(Vol.120) *前編

まとめると、人間関係において複数のチームに所属する最大のメリットは、「近いフェーズにいて、同じ価値観を共有できる仲間と出会えること」です。その上で大切なのは、

  • 今のフェーズで、何をダンスに求めているのか
  • 自分はどんな距離感の人間関係が心地いいのか
  • ダンス以外の人間関係も含めて、バランスは取れているか

こうした問いを、ときどき立ち止まって確認することだと感じています。

ペアダンスは、人との距離が近く、感情も動きやすい世界です。
それは大きな魅力であると同時に、のめり込みやすさも併せ持っています。

だからこそ、ダンスはダンスとして楽しむ
その上で、自分に合う距離感・合う場を、人生全体の中で選び直す

複数の団体に参加することも、ひとつに絞ることも、どちらが正しいかではなく、「自分が納得して選べているか」が、あとから残る感覚を大きく左右します。

この後も、もしどこかで違和感を感じたら、それは失敗ではなく、自分のバランスを調整するタイミングなのだと思います。

またフロアで。
SHINJI

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