- 【Vol.128】ダンスの世界に依存しない人ほど、長く楽しく踊れる理由
【Vol.128】ダンスの世界に依存しない人ほど、長く楽しく踊れる理由
こんにちは、SHINJIです。イベントのソーシャルタイムで、来て下さった方からこんなお話をいただきました。
今回はこの相談を起点に、“ダンスの楽しさが長持ちする関わり方”を、構造として整理してみます。
結論:ダンスを守るコツは、ダンスを”人生の全部”にしないこと
まず結論から記載します。20年間の現場経験に基づく意見として、ダンスの世界に“100%依存しない人”ほど、長く楽しく踊れる傾向があります。
ここで言う「依存しない」とは、冷める・距離を置くという意味ではなく、むしろ逆の意味で、ダンスが好きだからこそ、他の場所にも”自分の生活(期待)”を分散している、という意味です。
整理① 「期待が大きいほど、見返りが欲しくなる」のは自然
「仕事やプライベートを犠牲にして時間を使っているのだから、もっと楽しみたい」これは、すごく自然な期待です。一般論として、人は何かを犠牲にすると、その分だけ見返りを求めます。
でもペアダンスの世界は、満足が自分のコントロール外である、相手や環境に左右されやすい世界です。だからこそ、自分の犠牲が大きいほど、
- 満たされない日の反動が大きくなる
- 居場所・評価・反応が気になりやすくなる
- 環境や相手側に、過度な期待をしてしまう
という状態が発生しやすくなります。特に全振りしている場合は、このインパクトが生活レベルで、大きくなる傾向にあります。
整理② ペアダンスの世界は、良くも悪くも”満足を求めやすい”世界
私は他の記事にもよく書いているのですが、ペアダンスは本来、
- 音楽との一体感が気持ちいい
- ペアの相手と共鳴できる
- 身体を動かしてエネルギーを放出
という、自然に循環とマインドフルネスを楽しめる、とても稀有な世界です。だからこそ、生活の満足や承認をペアダンスの世界に全集約したくなる気持ちが発生しやすい環境にあります。
ただ、そうなると、いつの間にかダンスに様々な”見返り”を求めてしまい、揺れやすくなる状況になります。理由はシンプルで、
- 距離が近い(手を繋ぐ/近い空間)
- 相手の反応がある(喜ばれる/褒められる)
- コミュニティがある(居場所感)
- イベントがある(ワクワク/熱量)
- 居場所がある(承認欲求)
これは、ペアダンスの強みでもありますが、でも同時に、生活が忙しい時期や、他の居場所が少ない時期には、ダンスの世界に「承認」「居場所」「安心」をまとめて背負わせやすい、という構造もあります。
整理③ 好きに全振りすると、”消耗”も増えやすくなる
ダンスが楽しくなってくると、確かに「好きに全振りしたい」という気持ちは自然に湧きます。仕事よりも、他のことよりも、ダンスの時間がいちばんワクワクする。世界も広げたい。だから、そこに時間もエネルギーも集中したくなる。
私自身も、若い頃は好きに全振りしようとして、揺れていた時期がありました。
ただ一つ、冷静に整理しておきたいことがあります。好きに全振りしても、”その世界全部が好きなことだらけ”になる現実は、ほぼありません(あったら超ラッキーです)。どれだけ好きな世界でも、
- 目的が違う空間はある
- 合わない人はいる
- 温度差や摩擦は必ず起きる
- 苦手なことにも関わらざるを得ない瞬間がある
なぜなら、ダンスの世界(=好きな世界)に集まって来る人たちは、皆それぞれの「好き」を持っているからです。
上達したい人、音楽を楽しみたい人、交流したい人、恋人を作りたい人、特定のコミュニティでインフルエンサー的な存在になりたい人、ただ相手にマウントしたい人。目的が違えば、摩擦が出るのは自然なことです。
言い方を変えると、「好きな世界だから全部楽しいはず」という無意識の期待があると、コントロールできないことが出てきた際に、理想とのギャップが消耗になります。
整理④ ペアダンスの時間が増えるほど、”コントロールできないもの”にも触れる回数が増える
週5でイベントに行くほど、ペアダンスを大切にしている。これは素晴らしいことです。ただし、上記の通り、同時にこういうものに触れる回数も増えます。
- 合う・合わないイベントの空気
- 苦手な人/合わない人
- 上達の波(自分の上達速度・うまく踊れる日・踊れない日)
- 求めていない異性からのアプローチ
- コミュニティでの立ち位置/相性/競争
- イベントの強制参加やお手伝いの依頼
これらは多くがコントロール不能です。ペアダンスの世界に関わる頻度が上がるほど、コントロール不能に触れる回数も増える。そして、ここに期待を乗せすぎると、揺れます。
対応策:ダンスを長く楽しむための”コミュニティ設計”
ここからが本稿の具体的な対応策です。お伝えしたいこととして、必要なのは気合ではなく、楽しさを守るための設計です。ペアダンスを減らす必要はありませんが、極端にペアダンスの世界”だけ”にメンタルを集中させない環境も一緒に作ることが有効、ということです。
20年の現場経験を通じて、長く楽しく踊っている人には、ある共通点があります。それは、生活に複数のコミュニティを持っていて、かつ自己完結できるマチュアリティがあることです。
① 複数の居場所を持つ(ダンス以外にも楽しめる場所を作る)
ダンスに全振りするのも、もちろん一つの選択肢です。ただし、居場所そのものは、本来ペアダンス以外にも多く存在します。
- 家族
- 仕事(遣り甲斐・同僚・仲間)
- ダンス以外の知人・友人
- 他の趣味コミュニティ
- 推し活
ダンスの世界は、ダンスが本来の主要素です。全ての期待を一つの世界に持ち込むこと自体を否定はしませんが、ダンスはダンスとして楽しみながら、それ以外の期待については、他の生活によるポートフォリオで自分の居場所を分散し整える。その方がノイズが消えて、結果的にダンスを長期的に楽しめる、という構造になります。
② イベント毎で”関わり方の粒度”を自分で事前確認する
全ての日やイベントで、“自分の好き”と期待を、毎回全部ピュアに持ち込むと、環境が異なった際に消耗が大きくなります。例えばですが、全部ではなく粒度を変えて、
・今日のイベントは初めてなので「観察する日」 *雰囲気を楽しむ
・今日は久しぶりに会う人が多いので「交流中心」 *交流が主体
・今日は久しぶりにレッスンなので「練習Day」 *ダンスに集中
・今日は合わない人もいるかも *過度に期待しない
環境を想定し、自分の期待値粒度を毎回事前調整します。
そうすると、自分の過度な期待や周囲の反応に振り回されにくくなります。
③ コントロールできないことに重さを置きすぎない
合う・合わない人、イベントの雰囲気、誘われ方、評価。これらは自分ではコントロールできません(=ここに集中すると消耗します)。だからこそ、コントロール可能な自分の在り方・丁寧さ・姿勢に軸を戻すことが大切です。
※こちら③を深堀したい方は、こちらの記事もご参考下さい。
【Vol.127】前は楽しかったのに…最近ダンスがしんどい時に起きていること
論点:ダンスを長持ちさせる人は、”自分が安定している”
本稿の論点です。『ダンスの世界に依存しない人ほど、長く楽しく踊れる』、という構造ですが、その人たちは、ダンスを軽く扱っているわけではありません。むしろ大切にしています。ただし、満足や安心を一つの場所に預けていません。
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- 仕事の接点(小さくても貢献している感覚)
- 生活の安定(睡眠・食事・身体の整い)
- 家族や身近な人との役割
- 自分一人で完結できる時間(創作・運動・学び)
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こうして土台が複数あると、ダンスは「人生の全部」を求める”不安定”なものではなく、人生を豊かにする”安定”した一つの要素になります。
そして不思議なことに、自分がしっかりしているほど、コントロールできないことに惑わされず、ダンスの世界をシンプルに楽しめるようになります。余裕が戻り、音が入り、身体が自然に世界へ反応する。言い換えると、これは自己完結する、ひとりでも整えられる力です。
不思議なもので、自分に余裕があると、結果的に周囲の環境とも共鳴しやすくなります。結果として、ダンスの世界も次のステージに進んでいきます。
(順番:①”自分”を満たす → ②”周囲”へ伝播する → ③”世界”が自然に広がる)
🎯 まとめ:最初の質問に戻ります
最初の相談に戻ります。
本稿の整理を踏まえて、答えを一言で言うなら、
ダンスを守るために、ダンスだけに期待を集約しないこと。
です。
- ✔️ 好きに全振りしても、その世界が全部好きになるわけではない
- ✔️ 好きな人たちが集まる世界だからこそ、目的の違いによる摩擦は自然に起きる
- ✔️ 関わる頻度が増えるほど、コントロールできないものに触れる回数も増える
- ✔️ だからこそ、生活の中に複数の居場所を持ち、自分で整えられる力を育てる
ダンスを軽くするのではなく、ダンスに背負わせるものを軽くする。
それができたとき、ダンスは「人生の全部」ではなく、人生を彩る安定した一部になります。そしてその状態こそが、いちばん長く、いちばん深く、踊れる状態です。
またフロアで。
SHINJI
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