【Vol.116】なぜレッスンを受けているのに伸びないのか──上達する人がやっている本当の使い方
こんにちは、SHINJIです。
レッスンで、最近こんなご相談(というか、何気ない一言)をいただきました。
「先生、レッスンって受けてるのに、なかなか上達しないんです…」
「復習してるつもりですが、あまり上手くなっていない感じがして…💦」
こちらは、まじめな方ほどハマりやすい “壁” です。
今日は、20年以上現場を見てきた立場から、「レッスンの正しい使い方」を、
できるだけ分かりやすく整理してみます。
結論:レッスンは「答え」ではなく「材料」をもらう場所
まず最初に、いちばん大事なことから。
レッスンは、それ自体を受けていれば自然に上手くなる場所ではありません。
レッスンは、上達するための「材料(ヒント・共通言語・視点)」を受け取る場所です。そして本当の上達は、そのあとに(ただ単純に繰り返すだけでなく)自分自身で必要な練習を深掘りすることで起こります。
ここを勘違いすると、こんな状態になりやすいです。
- レッスンを受けて「分かった気になる」
- 気持ちは上がる
- でも、体はあまり変わらない
という事象が起きやすくなります。
本を買って満足するのと、レッスンを受けて満足するのは同じ
私も本が好きなので、ついやってしまいがちではありますが、、、レッスン時間だけに依存すると、以下のような「本を買って読まずに満足する」と同じ状態が起きやすくなります。
- ダンス本を買って「よし、学んだ!」で終わる
- レッスン動画を保存して「満足・・・」で終わる
- レッスンを受けて「いい内容だった!」で終わる
これらは、“受けた(買った)”という行為で、成長した気分になってしまう状態です。でも実際に上達を作るのは、受講後の「自分の深掘り」のほうです。
グループレッスンには、構造的な“限界”がある
ここも、冷静に押さえておきたいポイントです。
オープンクラスにしろ、クローズドクラスにしろ、グループレッスンは、どうしても個へ完全に合わせた「個別最適」はできません。
- 個々におけるフェーズの違い(初心者/中級/伸び悩み)
- 男性・女性視点の違い *解釈のGAP
- 過去の経験(スタイル他)や情報量の違い
- 体格・骨格
- 筋力・柔軟性)
これは先生のスキルやレッスン内容以前に、構造の限界です。
なので、よくある理想と現実はこうです。
- 理想:自分の癖に合わせて、毎回レッスンでピンポイントに全部直したい
- 現実:全体に共通する土台(基礎・安全等)を一定量優先せざるを得ない
もちろん、グループ形式でも個別アドバイスが行われる時間はあります。
プライベートレッスン等なら深掘りもできます。
ただどうしても時間が限られたり、プライベートだと費用の問題、1対1で言われると息が詰まってしまう、細かく指摘されると逆に辛く感じる等、別のチャレンジが発生するパターンもあるでしょう。
だからこそ、レッスンを受講する際に必要なのが、
「このレッスンから、自分は何を持ち帰るか?」
を、自分自身で判断し、選び取る力です。
例:どんなに凄い海外ワークショップでも、同じ話
「海外有名ダンサーのWork Shopを受けたら一気に伸びる」
そう思って高額のWork Shopに参加する方はとても多いです。
勿論学びは多いと思いますが、ここにも“落とし穴”があります。
- 刺激は大きい
- テンションも上がる
- 上手い人たちと一緒にレッスンにも混ざり、「上手くなった気もする」
でも、数週間後見比べた際、ビデオを見ても、
特筆すべき変化は見当たらない・・・この状態も、よくあります。
なぜかというと、WSの海外ダンサーが”凄いかどうか”よりも、
“内容が自分のフェーズに合っているか”のほうが重要だからです。
どんなに凄い情報でも、自分の課題に接続できないと、体は変わりません。
逆に言えば、普通のレッスンでも、今の自分に合った情報を自分自身でピックアップし、深掘りができる人はどんどん伸びます。
ポイント:伸びる人は自分の「次の一手」を知っている
上達が早い人ほど、レッスンを“受け身で全部吸収する場”にはしません。
実際に意識している・無意識で行っている、の2パターンがありますが、いずれにせよ、頭の中 or 感覚で、こういう軸を持っています。
- 今の自分の課題はどこか?(軸?リズム?姿勢?相手との距離?)
- 今日の内容の中で、今の自分に刺さるのはどれか?
- 次の1週間で、何を伸ばせば全体が変わるか?
つまり、伸びる人は「自分が次に何をすべきか」を、感覚含めて自分で分かっています。だからこそ、先生の話を聞きながらも、
「これは今じゃない(無意識含めてアンテナが下がる)」
と、情報を自分で強弱つけて、選び取っています。
逆に言うと、伸び悩むときは、「何が課題か」が自分の中で曖昧なまま、全部を拾おうとして混乱することが多いです。
レッスンは、全てを覚える場所ではなく、自分の次の一手を確信に変える場所。
この感覚に切り替わると、レッスンが“学び”から“変化”に変わっていきます。
次の一手を見つけるための「自己診断」3つ
「じゃあ、自分の次の一手ってどうやって見つけるの?」というご質問に対し、すぐ使えるチェックを3つ置いておきます。
レッスン前・レッスン中・レッスン後に、頭の片隅でOKです。
- 今いちばん困っているのはどれ?
(例:回るとブレる/音を外す/相手に伝わらない/動きが硬い/自信がない など) *直感レベルで感じているものがヒントになりやすい - その原因は「技」じゃなく「土台」かも?
(重心・姿勢・タイミング・カウント・距離感のどれが崩れている?) - 次の1週間、毎回10分だけやるなら何を固定する?
(例:「ベーシックの重心だけ」「1回転の軸だけ」「音の頭だけ」など)*もっと練習した方が良いかも、と、感覚でもうっすら感じているもの
この3つに答えられると、レッスン中に情報が洪水みたいに来ても、ちゃんと整理できます。言い換えると“自分に必要なものだけを拾える”状態になります。
そして何より大事なのは、
「自分の課題を、レッスン(先生)に丸投げしない」
という姿勢です。
先生(レッスン)はヒントをくれます。
個別アドバイスを貰えるときもあるでしょう。
でも、自分の踊りを変えるのは、自分の選び方です。
言い換えると、レッスンを自分自身で「自分用に変換する」作業です。
まとめ:レッスンの“使い方”を1段上げてみる
最初のご相談に戻ります。
「レッスンを受けているのに、なかなか上達しない…」
これに対する、今の私の答えはこうです。
レッスン内容を、“自分用に深掘り”した場合、
“自分自身の視点”では、どこがネクストステップだと思いますか?
もし今、伸び悩みを感じている方がいたら、
「レッスンの内容」より前に、ぜひ一度“使い方”を見直してみてくださいね。
またフロアで。
SHINJI
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