【Vol.108】上達が止まる理由とその解決策
こんにちは、SHINJIです。
現場で20年以上いると、生徒さんから次のようなご相談も頂きます。
「頑張ってレッスンもたくさん受講しているのに、一向に上手くならない(成長が止まってしまった気がする)」
まず、「上達が止まった気がする」と感じられるのは、真剣に向き合っている証拠です。誰よりも努力している自分を、ぜひ褒めてあげましょう。
一生懸命通っているのに伸び悩む──これは多くのダンサーが必ずぶつかる壁です。もちろん原因は人それぞれで一概には言えません。その上で、20年間現場で多くの学びの過程を見てきた講師の視点として、その壁を超える鍵となる、「言われたことをする」だけに留まらない「自分で考える時間」を、ダンスの上達に即した流れで、今回整理します。
🔎 上達が止まる「3つのパターン」
よく「2:6:2の法則」と言われるように、どの学びの場でも「すぐにできる人:大多数の平均層:なかなか伸びにくい人」に分かれることがあります。ダンスにおいても同じで、上達が止まるときには大きく3つのパターンに整理できます。
① そもそも言われたことを実践できていない群 (20%)
先生に言われたことがまだ身体に入っていない段階です。ここはシンプルに、まずは基本をそのまま繰り返すのが最短路です。自分ができていない部分は、自分でも一定量分かると思いますが、もし迷うようであれば、講師から直接、個別にフィードバックを貰うのも一つの手です。
・カウント/体重移動/ホールドの型を、動画や鏡で照合しながら定着させる
・自己流は一旦脇に置き、同じ条件で再現できるまで反復する
※ここの①フェーズについては、こちらの記事も必要に応じてご参考ください。
【Vol.100】誰でもできる、自然な即興ソーシャルのコツ3選
② 言われたことの形はできているけど、深掘りできていない群(60%)
今回の議題に関するメイン群です。「習った通りには一応踊れるし、形はできているとは思う(言われる)けど、そこから先が伸びない・・・」という状態のグループです。ここから抜ける鍵は、自分で考える時間と守破離の視点です。
・守:教わった型を”真摯に実践”を継続
・破:正解・不正解の”0・1思考”ではなく、自分/相手のスタイル・身長差・可動域・骨格・違う文化も観察し、合わせて取捨選択し、工夫する (状況に合わせた柔軟性も取り入れる)
・離:原理を外さず“自分と相手に合う形”へカスタマイズしていく
※例:レッスン相手とは違うカウント感、違う正解を持つ相手、スタイルの違い/リード&フォローのタイミング差/身長差で腕が届きにくい等、その場の条件に合わせて調整できる人が一歩先へ進みます。
③ 深掘・応用もマスターしていて、マンネリになっている群 (20%)
テクニックは十分でも、広さや刺激の種類が単調になって停滞感が出る段階。
・レッスン内容や環境を変える(講師/レベル/ジャンル/フロア)
・新しい解釈やテクニック、スタイリングを取り入れる
・異ジャンルの基礎(リ3ズムドリル/体幹トレ)を交差させる
人や段階によって異なりますが、全体として最も多いのは”②”であり、
最も悩みがちなのも”②”になります。
よって本稿では、②の群について、更に深堀して説明していきます。
🔸②群:“量”(レッスン増)だけでは伸び悩む理由
レッスンの受講数(量)は土台を作りますが、量=自動的な質の向上ではありません。とくに初中級以降は、似たような内容を、同じやり方で繰り返すだけだと、脳と身体が“慣れ”の回路に入り、変化が小さくなります。
さらに前提として重要なことは、②以上の段階になると、「言われたことだけをやれば上達する」という考えには限界があるという点です。なぜなら──
・例1:レッスンで学んだことを全員が知っているとは限らず、相手の理解度やタイミングの違いで、「習ったことそのまま」では成立しない状況に、イベント等で遭遇する。
・例2:人それぞれ 骨格・柔軟性・筋力・体格差 があり、同じ指導をそのまま実行しても結果が異なる。(習うことが一緒でも、できたりできなかったりする)
・例3:嗜好や目指したいスタイルも異なるため、細かくなるほど人それぞれ解釈が変わり、「全員が同じ答え」にたどり着くとは限らない。
分かりやすい例としては、身長差がある相手と組むと、教わったリード&フォローをそのまま再現すること自体が、前提として物理的に難しいテクニック(腕の長さ・関節の可動域が届かない、距離が出るなど)も出てくることでしょう。特にスタイルによってカウントや文化が違うパターンだと、状況によって最適解が異なるので猶更です。
実際に、「上手くなりたい」と言っている人で、上達に向けた純粋な気持ちで、毎週複数回のレッスンやイベントに参加される方もいます。その上で、それにも関わらず、特に上達しておらず、ずっと同じまま、という人も一定数いらっしゃいます。それは上記の「自分での深堀が不十分」な典型の可能性があります。(=習った内容だけで満足してしまうパターン)
定石を学ぶ、という観点では、レッスンは非常に重要です。その上で、「言われたことだけで、そのまま上手くなる」も、段階が進めば進むほど難しくなります。だからこそ、次のステージに進むためには、並行して「自分でも熟考し、自分と相手に合わせながら、“習った先の内容もカスタマイズ”する時間」 が不可欠になります。
教育心理学でも「転移(transfer)」という概念があり、学んだことを状況に応じて応用できる人ほど成長が早いとされています。これはダンスにおいても同じで、自分の特性や相手との条件に合わせて調整するプロセスこそが、真の意味での上達につながります。
📜 守破離の重み──「型」を超えるための日本的メソッド
本稿で共有にしたい「守破離(しゅ・は・り)という熟達のメソッドがあります。茶道や武道など“道”の文化で共有されてきた学びの順序です。
・段階1 – 守:先人の型を忠実に守り、基礎を身体に刻む。
・段階2 – 破:すべてを写すことはできない前提で、吟味・工夫し、自分に要る要素を深掘る。
・段階3 – 離:本質を体得し、自然体で自在に表現する(基本=“本”は忘れない)。
📜ダンスに置き換えると…
・守:先生のタイミング/体重移動/ホールド/視線まで「丸ごと」写す期間。
・破:骨格・カップルバランス・自分や相手の好みが違う前提で、何を残し何を深掘るかを自分で選ぶ。
・離:原理が身体化し、音楽・相手・場に呼応して“自分の言葉”で踊れる。
※「離」は“型なし”ではなく“型の向こう側”。基本(本)を忘れない自由です。
🪞 守──まずは徹底的に真似をする(真摯さが土台)
入口で最重要なのは真摯な模倣。インストラクターの動き・重心・呼吸・視線まで、自己流を横に置いてそっくりコピーします。ここで身につくのは、後工程(破・離)の“材料”です.
🔎 破──結局、人はみな違う(取捨選択と深掘)
ただし、骨格・可動域・好み・解釈・自分の得意分野・相手とのカップルバランスは千差万別。100%全てに活用・同一コピーの視点には限界も出てきます。ここからは、何を取り込み、どこを深掘るのかを自分で決める段階へ入ります。
・例1:自分は胸郭の可動が硬い→アイソレーションに投資
・例2:身長が低いので、相手との距離がどうしても近くなる→ホールドとフレームを自分流に一定量カスタマイズ(基本はキープ)
・例3:できないテクニックやルーチンは思い切って諦める、”得意”を派生
・早い動きやターンは苦手なので表現・ムーヴメントを深堀
・運動量のある動きが好きなので、密着系のリード&フォローは少な目で
・ロールを深堀したいので、胸・腰だけでなく、踵・指先まで派生を独自研究 他
🌿 離──自分流にカスタマイズ(本質を携えた自由)
ここはまさに、言われたことを“そのまま”やるだけでは到達が難しい領域です。自分でも経験して、レッスンでは言われていない要素も、自分なりに必要と感じ深堀して考えて、カスタマイズして実践し、「言われたこと+自分の思考」を掛け合わせたとき、はじめて踊りが完成に向かいます。音楽・相手・場の空気に合わせ、原理を外さずに、自分流を掛け算して、自由に変奏できる状態が「離」です。
🧠 補足:なぜ「自分で考える時間」が必須なのか
補足で、心理学と理論の部分を深堀します。受け身で“言われたことだけ”を行う学習は、多くの場合浅い処理にとどまり、定着や転移(応用)に弱いとされます。
内省し、学びを自分の言葉で整理し意味づけし、自分で応用を具体化して考えるプロセスが、長期記憶の定着と応用力の向上に有効だとされています。(内省→メタ思考→精緻化のプロセスです。ご興味があればネットで検索してみて下さいね)
逆に、指示待ちのままでは“守”に留まり、上達の天井感が早く来やすいので、この能動的な“考える時間”を持つ人だけが、守 → 破 → 離へと上がっていきます。
📝 今日からできる3ステップ例(5分/1日でOK)
以下は例ですが、自分でも考えながらカスタマイズし、週次前後で仕組み化すると、上達が見える化され易くなるので、お勧めです。
1) レッスン直後に1行メモ:「今日の自分に必要な1つ」 *携帯へメモ書きで十分
2) 30秒の可視化:スマホで自撮り→差分を1点だけ観察
*指先、リードの円、肘の使い方、つま先・踵等、細かくブレイクダウンがベター。
3) 次回までに1テーマ練習:「胸郭の可動」「フレームの安定」など一点集中
*5分/1回で良いので、複数回/週実施し、自分で考えるプロセスが効果的。
*このプロセスは1人でも実施可。(相手がいなくても、復習含めて、自宅の鏡で内省できることは数多くあります。)
*その上で、レッスンやイベント等、相手がいる場であれば勿論ベストです。
🎥 参考動画 *ターン&スピン
🔸まとめ
・量は土台、質を上げるのは「自分で考える時間」。
・守で材料を集め、破で取捨選択し、離で本質を携えた自由へ。
・「言われたこと+自分の思考」で、自分流にカスタマイズする人が先に進む。
またフロアで。
SHINJI
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