【Vol.143】忘れる技術 ── 一度離れた場所へ再接続する方法
こんにちは、SHINJIです。
先日のソーシャルタイムで、こんなご相談をいただきました。
ダンスを続けていると、このようなことはあります。以前は毎週参加していたけれど、団体の雰囲気や楽しみ方が、自分と合わなくなった。
周囲との熱量や目的にも、参加メンバーとも差を感じるようになり、一度離れることになった。しかし、時間が経つと、
- 興味のあるレッスンがある時は受けたい
- 久しぶりに会いたい人がいる
- イベントには参加してみたい
- 完全には接点を切りたくない(たまには参加したい)
と思うことがあります。そんなときに必要なのが、今回のテーマである「忘れる技術」かもしれません。いつも通り、今回ご相談を基に、構造化して整理したいと思います。
結論:「戻る理由」を完成させず、しれっと忘れて接続してみる
まず結論です。一度離れた場所へ戻る時ですが、仮に過去、団体やメンバーと合わなかった事象があったとしても、ゼロベースで、しれっと忘れて、接続してみるのがコツです。
程度にもよりますが、自分への説得含めて、立派な理由や完璧な説明は特に必要ありません。また久しぶりに参加することを、大きな「復帰」にしなくても大丈夫です。以前と同じ頻度で参加する約束も、必要ありません。
「久しぶりです」と挨拶をして、しれっとレッスンを受ける。興味のあるイベントに参加して、数曲踊る。楽しかったら、また次の機会に行く。まずは、そのくらいでよいのだと思います。
整理① 他人は、自分が思うほど自分のことを考えていない
再接続しづらい大きな理由の一つとして、周囲の反応を考えてしまうことがあります。
「今さら戻ってきたと思われないだろうか」
「辞めた理由を説明しなければいけないのではないか」
と、周囲の反応を心配しすぎてしまうことです。
しかし、実際には、他人は自分が思っているほど、自分のことだけを考えてはいません。良くも悪くもほとんどの人は、
- 自分がどう見られているか
- 今日、自分がうまく踊れるかどうか
- 自分が誰と話すか、誰と踊るか
- 最近の仕事や家庭のこと
- コミュニティ内で起きている別の出来事
など、自分自身のことで忙しくしています。一時的に「久しぶりだね」と思われても、それは相手にとって、大きなニュースではありません。
特にダンスコミュニティでは、その後も常に新しい人が来たり、別の人が休んだり、新しいイベントやパフォーマンスの話が出たりします。言い換えると、自分が離れたことや戻ったことは、自分の中では大きな物語でも、周囲にとっては日常の一場面であることが多いというのが、リアルな実態かと思います。
整理② 再接続を難しくするのは、過去より「自分のプライド」の場合がある
戻りづらさの中には、気まずさだけではなく、自分自身の承認欲求やプライドが混ざっていることがあります。例えば、
- 歓迎された状態で戻りたい
- 自分は間違っていなかったと認められて戻りたい(勝ち負け)
- 自分の価値を分かってもらってから戻りたい
- 以前のポジションを保ったまま戻りたい
- 相手より有利な立場になってから戻りたい
というような類の気持ちです。もちろんこれらは、誰にでも一定量、自然にある感情です。ただ一方で、これらの条件をすべて満たしてから戻ろうとすると、再接続は難しくなります。なぜなら、相手の反応や評価は、自分だけではコントロールできないからです。
そこで一度、自分が認められた状態で戻ることより、今の自分にとって何が大切なのか(= やっぱり戻りたいと思った理由)。を考えてみます。例えば、
・やっぱりその先生のレッスンを受けたい。
・そのスタイルで踊りたい。
・会いたい人がいる。
・その雰囲気で身体を動かしたい。
・その環境で、自分のダンスをもう一度楽しみたい。
それらが本当に大切なのであれば、誰が勝った、負けた、どちらが正しかったという物語については、一度脇に置いてもよいのだと思います。
アクション:次の一場面を「ゼロベース」で始める
では、ここからが具体的なアクションです。再接続するときは、過去の続きとして入るのではなく、今日の一場面を新しく始めるように接続します。言い方を変えると、「しれっと忘れてリセット」を意識します。
①しれっとリセットし、普通に参加して挨拶する
まずは自分自身に対してもしれっとリセットします。その上でしれっと参加し、久しぶりに団体の人達と会ったときも、
- 「お久しぶりです」
- 「今日は久しぶりに参加してみました」
- 「最近タイミングが合わなかったのですが、今日は来られました」
と、軽く挨拶します。聞かれていないのに、離れた理由や過去の違和感を詳しく説明すると、再接続の場が「過去を精算する場」になってしまいます。必要な話がある場合を除き、まずは普通に挨拶をして、普通に参加して、普通に帰る。必要以上に過去を自分自身で大きくせず、しれっとゼロベースで参加することです。
② 「復帰」ではなく、一回だけ参加する
最初から「また以前のように通います」と決める必要もありません。
- 興味のあるレッスンを一回受ける
- イベントに一時間だけ参加する
- 久しぶりに数曲踊ってみる
- 雰囲気を見て、合わなければ帰る
一度参加することと、再び所属することは別です。「今後も続けるか」は、参加した後に考えれば十分です。
③ 自分が欲しいものだけを受け取る
団体に戻ると、以前と同じように全体へ合わせなければいけないと感じるかもしれません。しかし、
- レッスンだけ参加する
- ソーシャルだけ参加する
- 飲み会には参加しない
- パフォーマンスには参加しない
- 興味のある企画にだけ参加する
という接続でも、場が許すのであれば構わないと思います。すべてを受け入れる必要はありません。勿論、自分の希望だけを一方的に押し通すのではなく、その場のルールや他の参加者への配慮は守る。自分に必要なものを受け取りながら、その場にとって無害な存在でいる。それができれば、十分に接続は可能です。
④ 次回の約束をせず、その日の感覚で終える
楽しく参加できても、その場で今後の頻度を決めなくて大丈夫です。「またタイミングが合えば来ます」と伝え、その日は終える。次も行きたいと思えば行く。少し違うと感じたら、また距離を置く。再接続は、一度決めたら後戻りできない契約ではありません。接続と離脱を、その時々の自分に合わせて柔らかく選べることも、リセットする技術の一つです。
論点①:一つの環境で、自分の欲求をすべて満たそうとしない
今回の論点です。ダンスのレッスンやイベントには、お金を払って参加することが基本です。そのため、
・お金を払っているのだから、自分が満足できる場であるべきだ
・自分の目的や希望を理解してもらうべきだ
と考えたくなることがあります。また、そのように思っている方も一定量いるかと思います。もちろん、レッスン内容やサービスに対して、必要な品質を期待することはとても自然です。
一方で、ダンスの団体やコミュニティは、商品だけを受け取る場所ではありません。先生、運営者、他の生徒、参加者がいる、自分で全てをコントロールできるわけではない、小さな社会でもあります。その中では、自分の欲求がすべて満たされる場とは限りません。
- レッスン内容は好きだが、交流の雰囲気は合わない
- 仲間は好きだが、パフォーマンスには興味がない
- 先生は好きだが、イベントの方向性は合わない
- 音楽は好きだが、参加者全員とは気が合わない
一つの環境に全振りしてしまうと、このような「一部は合うが、すべては合わない」という状態になり、自分自身が苦しくなることは普通にあり得ます。これは人生の階層でも同じことが言えるかと思います。(例. 仕事に全振りで苦しくなるパターン等)
なので、大切なのは、一つの環境に、
- 技術的な成長
- 自己表現
- 居場所
- 友情
- 承認
- 楽しさ
- 安心感
のすべてを求めすぎないことです。自分に必要なものを受け取りながら、相手や場を自分中心に動かそうとしない。周囲にとって無害で、感じよく参加できれば、それで十分。このくらいの距離感で接続すると、周囲や団体との関係は軽くなります。
論点②:再接続は「過去の自分」に戻ることではない
一度離れた場所へ戻るとき、以前と同じ自分を再現する必要はありません。以前は団体やチームの中心で活動していたとしても、今回は時々参加する人でよいですし、以前は毎週通っていたとしても、今回は月に一度でも良いと思います。
環境も人も、そして自分自身も変わっていきます。今この瞬間、自分が楽しめる範囲で参加すれば大丈夫です。再接続とは、昔のポジションへ戻ることではありません。今の自分として、今必要な形でつながり直すことです。
🎯 まとめ:最初の質問に戻ります
本稿の答えは、こうです。
戻る理由や立場を完成させようとせず、ゼロベースで始めるように、しれっと忘れて接続してみる。
- ✔️ 他人は、自分が思うほど自分の行動だけを見ていない
- ✔️ 歓迎や承認、以前のポジションを条件にしなくてよい
- ✔️ 「復帰」ではなく、一回だけ参加してみる
- ✔️ 離れた理由を説明しすぎず、普通に挨拶する
- ✔️ 一つの団体に、自分の欲求すべてを満たしてもらおうとしない
- ✔️ 自分に必要なものを受け取り、周囲にとって無害でいればよい
- ✔️ 昔の自分ではなく、今の自分としてつながり直す
リセットとは、過去をなかったことにすることではありません。
重く戻らず、しれっと戻る。それも、長くダンスを楽しむための「リセットする技術」なのだと思います。
またフロアで。
SHINJI
※プライドとの付き合い方を深堀したい方は、こちらもご参考下さい。
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